2010/03/30

一審敗訴を受けて

本日、東京地裁で医薬品ネット販売訴訟の棄却を言い渡されました。
国側の主張を全面的になぞっただけの、極めて不当な判決です。
消費者のために、医薬品インターネット販売の安全性を最大限高めようと努力してきただけに、このような判決を受けて、残念です。
司法は「法の番人」だと、小学校の時に習いましたが、それがただの幻想だったのかという虚無感を覚えてです。
今回の法令は、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会といった守旧勢力が、医薬品のネット販売をつぶしたいと官僚や族議員に働きかけ、9千以上の消費者からの反対のパブリックコメントを踏みにじって、施行を押し切ったものです。
今回の判決で最も納得がいかないのは、「対面販売とネット販売を比べると情報提供の難易、実現可能性に有意な差がある」と断じていることです。
その理由として、例えば、
1. 対面販売では、購入者の年齢、性別、体格、身体上の特徴、顔色、表情、行動、態度やしぐさ、声質や口調を見聞きできるのに対し、インターネット販売ではそれらが困難である、あるいは購入者の申し出の場合は自己申告だからその申告内容の真偽の確認が著しく困難である。
2. 対面販売では、有資格者は名札で表示されているので確認できるが、インターネット販売では応対の相手が本当に有資格者であるか確認できない。
3. インターネット上で、禁忌事項に関するチェックボックスを設けたところで、それを正しく理解しているかわからない。
4. 対面販売で例え、実際の使用者が購入者以外のものであっても、対面販売であれば、購入者から情報をしっかり聞き取ることができるが、インターネット販売では購入者の自己申告に基づくしかないので、虚偽の申告を見抜けない。

実際のドラッグストアではこのような状況を実現しているでしょうか?
僕は「ポイントカードを持っていますか?」と言われた経験しかありません。
一方で、インターネット上では、ペテン師がうそつきに販売していることを想定しています。

まさに結論ありきの理由付けとしか思えません。

このような不合理な理由で既存の業界を守り、新たな業界の出現を妨げることに、司法までもが荷担するとは驚きを禁じ得ません。
司法が、「インターネット販売は対面販売に較べて情報提供の点で有意に劣る」と認めたことは、Eコマースやインターネットのビジネス全体の根幹を揺るがします。

また、今回、対面販売の優位性を認めたことで、インターネット販売だけでなく、漢方薬や伝統薬の郵送販売も、同様に安全性が劣ることを司法に認められたことになります。

立法、行政だけでなく、司法までもが堕落しているこの国に将来はあるのでしょうか?
このような国に、新しいビジネスが生まれる土壌があるのでしょうか?
この日本の何を信じていけばいいのでしょうか?

まだ1ラウンドが終わったところです。このような状況に終止符を打つまで、徹底的に戦います。

本日の記者会見で述べた内容に、一部加筆しました。

2010/03/29

判決を明日に控えて

医薬品ネット販売に関する行政訴訟の東京地裁による判決が明日30日に言い渡される。
自分側の主張はしっかりと裁判所に伝えたので、あとは天命を待つのみである。

双方の主張の内容から考えると、僕らの側の勝訴を確信しているが、今回のような理不尽な省令がまかり間違って作られてしまうような日本という国でのことだから、予想外の結果が言い渡される可能性が全くないわけではない。ただひたすら、法の番人としての司法の存在を信じている。

先日の海外特派員協会でのスピーチでも述べたが、今回の判決は、単に医薬品をネット販売できるかどうかという問題にはとどまらない。日本という国がどういう方向に向かっていくかを指し示すものになると思う。今回の医薬品ネット販売禁止は、薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会など、既存の業界が、一方では登録販売者という新たな利権を作り、他方では医薬品ネット販売という目障りな存在を葬り去るよう、厚生労働省および族議員に働きかけてできたものだ。要するに、守旧勢力が官僚や族議員に働きかけることで、新たなビジネスが生まれる芽を摘んでしまおうということが、今回の問題の本質だ。
こんな馬鹿げた規制がある国は先進国では日本だけだ。理屈の通らない規制を、守旧業界の働きかけで作り、その見返りに政治献金や天下り先を確保する。こんな内向きの論理で守旧業界と官僚、族議員の利権を守り、一方で消費者の安全はおざなりにし、新たな商品やサービス、流通の台頭を阻む、それが白昼堂々とまかり通るような国には未来がない。

僕はこの国に生まれ、日本が勢いを持ち、光り輝く時代も見てきた。その光が失われ、消えかかっているのが、ひどく悲しい。今回の医薬品ネット販売に関する一連の取り組みを通じて、光を失わせた原因の一端がどこにあるかはよくわかった。一筋縄ではいかないことはわかっている。相手は巨大な存在だということもわかっている。でも、これはあきらめることなく、戦い続けなければならない存在であることもわかっている。

まだ戦いは始まったばかりだ。