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2005/08/05

楽天の対応に関する疑問「誰のためのR-Card plus?」


ここ数日、楽天に関するポストを続けているが、彼らに執着しているからというわけではない。彼らが、8月1日に突如、クレジットカード決済の方法を変えると報道発表し、それを8月11日からいきなり適用するという。しかも、その内容が出店者に対して一方的な不利益を与え、楽天に利益が転がり込むような変更だ。楽天はほとんど情報を出さないので、出店者が一方的に不利益な契約書に盲判を押してしまう可能性がある(というか、楽天はそれを期待している)。そのような被害が出ないよう、自分のわかる限りの情報をできるだけ速やかに出していこうと思っているからだ。

今回のカード決済システム変更については、楽天が以下のように説明している。
http://www.rakuten.co.jp/com/faq/information/20050802/

これに周辺情報を加えて作ったのが、左上の表だ。今回の変更は2段階に分かれていて、暫定的な「あんしんサービス」を経て、最終的には「R-Card plus」を強制しようとしている。今回のシステム変更の目的は「顧客情報漏洩の防止」である。そのために、クレジットカード情報が楽天から店舗側にわたらないようにしようというものだ。
ここで注目して欲しいのは、「あんしんサービス」においても既にクレジットカード情報は楽天から店舗側には渡らなくなるということだ。この時点で、消費者の個人情報漏洩リスクを低減するするという初期目的は達せられている。
しかしながら、「あんしんサービス」はあくまでも暫定措置で、最終的な着地点は「R-Card plus」だという。それでは「あんしんサービス」と「R-Card plus」の違いは何か?一番の違いは料率が何パーセントで、誰のふところに入るかということである。「あんしんサービス」までにおいては料率はあくまでも店舗側と個別のカード会社との折衝である。一方で、「R-Card plus」においては今のところ、楽天が提示した、一律3.6%という数字が全店舗に適用されることになる。この3.6%という料率は、ある店舗から見れば安いものであるが、ある店舗から見ると法外に高いものである。「R-Card plus」においては楽天がカード会社と一括して包括契約を行うので、楽天とカード会社間の料率と3.6%の差がまるまる楽天の利益となる。消費者の個人情報漏洩リスク低減という初期目的が達せられているのに、なぜわざわざ「R-Card plus」に強制的に移行させなければならないのだろうか?
店舗側にカード情報を渡さないということは一定の理由が理解できる。楽天と店舗双方がカード情報を持つよりも、楽天のみがカード情報を持つ方が、漏洩リスクは低いからだ。しかし、「R-Card plus」に移行するのは、楽天が儲かるからという以外、理由が見つからない。

2005/08/04

楽天増収増益シミュレーション

今回の楽天の個人情報漏洩に対する対策が、どの程度彼らのP/Lにインパクトを与えるか、試算してみた。
仮に、彼らが言うとおり、クレジットカード決済がすべてR-Card Plus(楽天がカード会社と包括契約するシステム)に移行したとする。

1) クレジットカード決済手数料による収入
・現在の楽天市場の流通総額(四半期) =710億円
  ↓
・現在の楽天市場の月次流通総額    =236億円
  ↓
・現在の楽天市場の月次クレジット決済額=94億円
(クレジットカード決済の比率を40%と仮定)
  ↓
・楽天市場が得る決済手数料(月間)  =1.7億円(売上)
(R-Card Plusの料率は3.6%)

・楽天市場の決済手数料利益分(月間) =0.85億円(利益)
(実際の決済コストは料率の半分と仮定)

2)カード取引に関わる処理手数料による収入
・R-Card Plusに移行する店舗数    =7,000店
(全店舗数13,000店-既に加入済み3,000店、残りの7割が移行と仮定)
・店舗が支払う月次固定費       =3,000円
  ↓
・カード取引に関わる固定費収入    =21百万円(売上、利益)

以上を足しあわせると毎月1.9億円の売上増、1億円の利益増となる。
年間では23億円の売上増、12億円の利益増となる。

この他にも、カード取引に関わる処理手数料における従量部分、セキュリティ強化のための楽天大学講座(店舗に対する有料セミナー)等、収益を増やすチャンスが山積みだ。

個人情報漏洩を機に、このような自社に都合のよい契約を結ぼうというのは、焼け太りとしか言いようがない。彼らの売上増、利益増は楽天への出店店舗、住友VISA以外のカード会社、カード処理会社等からかき集められる。

2005/08/02

楽天の対応について(追加)

楽天のクレジットカード決済システム変更の件、その後調べてみたところ、ITメディアによればカード決済代行あんしんサービスというものも提供するらしい。カード会社と店舗の契約は店舗側の従来の契約のままで、決済のデータ処理は楽天側が行う。カード情報は店舗側にはわたらない、とのこと。楽天から店舗に送られたメールには、そのようなサービスは案内されていなかったが、報道側には発表したということだろう。
また、メールアドレスに関しても、店舗側には渡さず、転送機能を使って代替するようなシステムを導入するとしている。

楽天に出店するテナントの立場からすると、楽天での購入者のクレジットカード情報やメールアドレスは決して欲しいわけではない。ただ、安価な決済とお客様とのスムーズなコミュニケーションを行いたいだけだ。しかし、楽天の現行のクレジットカード決済システムの料率は決して安いものではないし、楽天のメールシステムはケンコーコムのような独立店舗と楽天テナントを併存させるような店舗からすると、非常に煩雑な仕組みである。また、消費者から見ても玉石混淆の1万数千店の楽天店舗それぞれがカード情報やメールアドレスを持つよりも、楽天が一括管理した方が安心だと思うのもうなずける。これらを解消するのであれば、悪い話ではない。何をやるかということに関しては大きな異存がないにしても、いかにやるかということに関しては、今回の取り組みが拙速であることは否めない。

今回の取り組みに対して、僕が持つ不満は3つある。
1.料率に対する不満
2.システム改修に対する不満
3.心情的なもの

1.の料率に関する点に関しては、上記の「カード決済代行あんしんサービス」というものの中身を楽天サイドからもう少し聞いてから考えたいと思う。ただ、このサービスが暫定的なもので、「R-Card Plus」という楽天とカード会社の一括契約システムをの全店舗導入すると言っている。現在の「R-Card Plus」は加入する全店舗に対して一律の料率を提供しているが、一般的にカード決済の料率は売上が増えるに従って逓減していくものだ。売上規模に応じた料率テーブルがなければ、全店舗への導入は困難だろう。

2.のシステム改修に関しては今回の一連の対策には店舗側の大きなシステム変更が伴うことに楽天は気づいているものの、強行突破をはかろうとしているように見える。個人情報漏洩という緊急事態への対策なので、多少やむを得ない部分もあるが、各店舗が負担するシステム改修コストは程度の差はあるがかなりのものだろう。しかも8/11の施行まで10日間の猶予しか与えなければ、その期間内に対応できる店舗はきわめて少ないだろう。
出店者からすると楽天の相次ぐ値上げで、楽天への出店を継続するメリットは急速に減ってきており、今回のシステム改修にかかるコストと、今後のリターンを比較して、対応の有無を判断することになる。楽天は今回も楽天のやり方で通すのであろうが、今回のハードルを越えない店舗は少なくない思う。

3.の心情的なものに関しては、以前から改まる気配がほとんどない。うちに対する現在の担当は楽天らしくなく、よく対応してくれているが、企業としての楽天の対応が醸し出す傲慢さは一向に解消されない。出店料の固定制から従量制への変更、楽天ポイント、アフィリエイトの導入と、一方的な値上げをここ3年ほどの間に繰り返してきたが、今回もまたかといった感じだ。今回の情報漏洩の件で、店舗側には未だに一切のお詫びもなく、そればかりか便乗して商機をうかがうなど、理解しがたいセンスを持っている。心情的には彼らとこれ以上関わるのは勘弁して欲しいと思っている。

まだ、楽天からの説明はほとんど聞いていないので、今日から彼らとしっかり話し合い、是々非々で臨みたい。

・・・今回の楽天の情報漏洩問題に振り回されて、夜更かしする癖がついてしまった。

2005/08/01

楽天、仮想商店街のカード決済をすべて代行へ

楽天の個人情報保護の件、早速カード決済の件を進めた模様。

楽天、仮想商店街のカード決済をすべて代行へ

従来も楽天はカード決済システムを持っていた。そのシステムと契約していない店舗は、彼らの手数料料率に魅力を感じていなかったのだと思うが、強制的に一斉加入させようということらしい。

手数料料率の0.1%、1%は利益に直結する。小売にとっての1%の意味を彼らは理解しているのだろうか?

(21:40 追記)
21時過ぎに来た楽天出店者向けメールの文末。
そんなに丁寧にお願いされなくてもいいから。


以上、誠にお手数をおかけいたしますが、事情ご賢察の上、ご理解賜りますようの程お
願い申し上げますいたします。

                                     敬具
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

商売上手の楽天

楽天の顧客情報が流出した件に絡んで、楽天が次々と対策を打っている。7/28に突然、楽天からのCSVダウンロードデータからクレジットカード情報が非表示となった。予告なく表示が消えて、事後報告されてしまったので、先週末は大変なことになった。今まで自動で行っていたクレジットカードの承認作業が手作業になってしまい、当社も週末何人かが徹夜を余儀なくされた。

プライバシーを保護するという目的にはもちろん異存はない。だが、このプライバシー保護を錦の御旗に、彼らの利益を増大させようという意欲には目を見張るものがある。今回の情報流出を機に、楽天に出店している店舗全店に、楽天独自のクレジットカード決済システム使用が義務づけられるような雲行きだ。楽天の独自システム稼働の折には強制的に加入することを義務づけられる差入書が送られてきた。楽天のクレジットカード決済システムを使うと、全ての店舗は一律3.6%の決済手数料がかけられる。3.6%の決済手数料を魅力的だと思う店舗もあるだろうが、現行の料率よりも大幅に悪化するところもかなりあるだろう。今回の情報流出により、出店店舗はまたもや楽天に利益を自動的に吸い上げられることになる。今回の問題を解決する過程で、どさくさに紛れて焼け太りしようとしているように見られても仕方あるまい。

今回の顧客情報流出は、図らずも楽天が従来からやりたくても言い出せなかったことを推し進める役割を果たしてしまった。販売主体が楽天となり、出店店舗は、楽天商店の一売り場の売り子となる構図だ。商品選定、ホームページづくり、販促、出荷作業は各店舗が行うが、消費者から見ると楽天と取引しているようにしか見えないというのが、楽天の目指す姿だろう。今回はクレジットカードの件に着手したが、個人情報はクレジットカード番号だけでなく、顧客の住所や氏名、電話番号等も含まれる。これらの情報も楽天だけで管理しようとすると、楽天のシステムで出荷を行うという結論が導かれる可能性が高い。出店店舗は商品を楽天の段ボールに詰め、楽天から渡された宅急便の送り状を貼り出荷するという世界に一歩一歩近づいている。そのときは、彼らが現在流通総額といっている数字が彼らの売上になるだろう。

楽天をEコマースシステムのASPだと当初は思っていた出店店舗からすると、そんな契約じゃないよという話だが、今回の顧客情報流出を機に大きく一歩踏み出した感がある。

2005/07/31

厚労省からの回答

ケンコーコムが6月に規制改革会議に対して提出した医薬品のインターネット販売に関する要望に対する厚労省からの一次回答が返ってきた。前回と同じく、検討部会で審議しているとの回答。秋までに意見をとりまとめるとのこと。この検討部会は継続して傍聴しているが、インターネット販売については実際のところ、ほとんど話していない。薬局・薬店による医薬品のインターネット販売と、海外からのインターネット経由の個人輸入の区別もせずに、インターネット販売をひとくくりにして議論している。
現在、2年後の薬事法改正に向けて、医薬品販売のあり方を議論しているフェーズであるが、薬局・薬店による医薬品のインターネット販売に対して、行政側からあまり注意が払われていないようだ。一方で、健康関連マーケットでインターネット販売が占める割合は4%を超えている。今後、薬事法が改正される時点、あるいはそれから5年、10年と経ったときにはインターネット販売が大きな割合を占めているはずである。過去の問題点を整理するだけでなく、将来の国民の生活を考えて、道筋をつけることも行政の重要な仕事だと思う。この件に関しては、継続して問題提起していきたい。